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霧深い朝霧高原はころころ変わる山の天気
山村レイコさんが住んでいる富士山の麓、朝霧高原へのアプローチはなかなかドラマチックである。東京から河口湖のインターまでは中央高速を飛ばして約1時間、朝方までぐずついていた天気がしだいに回復、雲間から太陽が顔を出すとたちまち夏の暑さとなる。河口湖で下りて本栖湖方面へと国道を走り、途中で富士鳴沢線という開拓道路へと左折。開拓道路の上にだけ青空が広がる鬱蒼とした樹海の懐奥深くへと前進していく。やがて南アルプスが眺望できるビューポイントの峠に差しかかると、少しイヤな予感に襲われる。車で走ってきた方向は晴れているのに、これから向かおうとしている地形には薄暗い霧が覆い被さっているのである。
一週間ほど前から天気予報と睨めっこをして、取材日は山梨県も静岡県も晴れるという日を選んだのに、峠を下るにつれてますます霧が濃くなり、しだいに米粒大の滴に変わってすっかり雨模様となってしまった。雨に混じって幻想的な霧が広い緑の牧草地の上をしずしずと歩き回っている。そんなひどい天気の中でも朝霧高原が魅力的な場所であることが推測できる。ここと匹敵する景色は北海道ぐらいなものだろう。
やっと山村レイコさんの住居に辿り着いてお天気の話をすると、標高一千メートル近くだとかで、「峠を境にまったく天気が変わるんですよ。ここは山のお天気ですから」とオートバイの修理をしていた御主人から気の毒そうに言われてしまった。
半年で千の物件を見て回る
これまで二度会っている山村レイコさんだが、相変わらず夏が似合いそうに爽やかな顔をしている。彼女が、東京の杉並区から朝霧高原に引っ越したのは、健康上の理由が大きいらしい。三十歳を過ぎてから十五ぐらいの病気にかかり、いつも花粉症のような症状に悩まされていたというのである。
「今考えると、シックハウス症候群みたいなものじゃないかと思うんですよ。新築のマンションで、絨毯に寝っ転がると咳が出てくるし、幾ら掃除をしてもダメ。夏にクーラーを入れると、どんなに手入れをしても花粉症みたいに鼻がぐずぐずになっちゃう。外をオートバイで走る時は、夏は地獄。もう呼吸ができないといった感じで、花粉症のマスクをして走っていたんですよ」。
杉並は東京の中ではまだ緑が多い方だが、仕事で地方に出かけると急に体調が良くなり、「都会の暮らしが自分には合わないのではないか」と思うようになったと打ち明ける。
「最初は運動をして体を治そうと思って、テニスクラブに週に三回通ったり、山登りにガンガン行ったり、動き回ってみたんですけど、何をしてもひどくならない代わりに良くもならなくて、五年間ぐらい辛いのが続いたんですよ。それでどこか良いところがないかと思って、半年間ぐらい方々を探し回ったんですね。長野県の八ツケ岳や小淵沢、清里、穂高、安曇野、伊豆や鎌倉、小田原、御殿場、山中湖、河口湖、上野原や大月など千軒ぐらい見て回って、最後に穴場みたいなこの場所に辿り着いたんです」。
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